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自治会の役員を長年務めていた会社員の父と、専業主婦ながらいつも手帳が真っ黒になるほど社交的であった母のもと、4歳違いの兄とともに横浜で育つ。スポーツ指導や地域のボランティア活動などに忙しかった母に連れられて歩くうち、好奇心旺盛で老若男女問わず誰とでも話ができる子になっていった。
世の中の多くの人は「誰かの役に立ちたい」と思いながら日々行動をしている。もちろん私も同じなのだが、私の場合は特に「直接関わり合いを持ちながら役に立ちたい」という気持ちが強いように思う。それはなぜ?と掘り下げていくと、「人が好き」「相手の気持ちを理解したい」というところに辿り着く。
これは生活の中で地域社会に役立つことを当然に行なってきた両親の背中を見てきたなかで、自然に培われたものなのかもしれない。
そんな思いを持ちながらも、中高一貫の女子校では、同世代の仲間とうまくやっていくことが難しい時期があった。人が好きなはずなのに、なぜなのか。今思えば自分にも原因があったと思えるのだが、当時一日の時間の大半を占める学校での時間を思うように過ごせないのはやはり辛いものがあった。
その後進学した大学では、周囲の大多数が男子であったが、物怖じしない性格が幸いしたのか、のびのびと過ごすことができた。ジャズ研でのサークル活動、次々と現れる知的好奇心を満たしてくれる研究課題など、修士課程まで充実した学生生活を過ごさせてくれた母校と、その環境を整えてくれた両親には本当に感謝している。
大学院修了後は製薬会社に就職し、臨床開発モニターとして働き始めた。
臨床開発モニターは、医療機関で実施される治験において、有効性や安全性のデータが正しく収集されることを担保する役割を担う。医師を初めとした関係者から情報を収集し、その内容の整合性をチェックし記録を作成する、患者さんに向け説明文書や同意文書を作成するなど、人の命に関わる業務であり、厳密な正確性が求められた。
新薬を待つ大勢の患者さんやその家族のため、常に真摯に関係者やデータと向き合う日々を過ごした後、入社4年目に部署異動となり、開発プロジェクトのマネージャー職に就くこととなった。新薬の開発プロジェクトに関わる各担当のマネジメントや部署間の取りまとめ、組織長会議のファシリテーション、研究部門や海外部門との調整など、持ち前の「人好き」の特性を活かし、様々な立場の人々と関わり、プロジェクトが円滑に進むようサポートすることに尽力した。これらの経験が、私の職業人としての基礎を作った。
のちに出産し、育休から復帰すると、後輩が重要な仕事を任されるようになっていたり、周囲がまだ仕事をしている時間帯に退社しなければならなかったりと焦りを感じる日々を過ごした。「みんなの役に立ちたい、頑張りを認められたい」と思うと、どうしても人からどう見えているかが気になってしまう。一方で、家族との関わりに手を抜きたくない自分も居た。やがて「今は母として子育てに集中する方が自分にとって心地良い選択ではないか?」と考え、退職し専業主婦となった。今なら「人と比べるのではなく、自分ができる限りのことをすれば良いだけだ」と思えるのだが、その時は目の前の事ばかりが気なってしまい、大きな視点で考えることができなくなっていたように思う。
その後、育児と両立できる仕事を求め、簿記の勉強を始めた。
これまで縁の無い領域だったが、データの整合性を求められる前職との共通項もあり、想像以上に楽しむことができた。またそれまで興味も、知ることも無かった経営についての知識に触れ、生来の好奇心が刺激された。簿記の勉強は3級から2級へと進んでいたが、もっと他にも自分に適した資格があるのではないかと調べ、辿り着いたのが、中小企業診断士であった。
多くの人とより深く接することができ、経営者に寄り添う支援ができる中小企業診断士の仕事が自分には向いている。そう信じて子育ての合間に独学すること一年、晴れて国家試験に合格し、経営コンサルタントとしてのスタートラインに立つことができた。
コンサルタントの仕事というのは実に幅広い。目の前には様々な人との縁、勉強の場、仕事の機会が次々と現れる。その中で自分の力を極限まで発揮でき、人の役に立てる場所はどこなのか。それを探してまわる経験は、この仕事に携わる者であれば誰もが通る道であるように思う。
そこで気づいたのは、経営が思うようにいかなくなっている会社はどこか社内の空気がよどんでしまい、働く人たちの間にも様々な問題が起きてしまいがちなこと。
経営者は目前の課題に追われ、成長のために最も大切な「この会社の社会的使命は何なのか」という目的を見つめ続けることが難しくなってしまう。そして、社内で働く一人一人も「何のために仕事をしているのか」という目的を見失ってしまう。
大人にとって働く時間は一日の大半を占めている。その時間を有意義なものに感じながら過ごすことができれば、人生における幸福感を得ることに直結するのではないだろうか。
経営者にとって、常に頭を悩ませるのは「人」と「お金」の問題だ。どんなに素晴らしい社会的使命とそれを実現するだけの技術を有していても、資金がうまくまわらなければ事業を前進させられないのが経営である。お金の問題がいつまでも解決しないと、どんどん目の前がふさがっていき、その結果社内で次々と持ち上がる他の問題に対峙することができなくなってしまう。
資金調達のためには金融機関などの第三者に会社の能力を正しく見極めてもらう必要があるが、経営者一人でそれを表現することは容易ではない。そんなときに私のスキルを役立てていただけるのではないか。
人を見る力と、データを分析し正確で客観的な表現をする力、この2つを掛け合わせて、現在の会社の状態とそこから導き出せる未来図を提示することができれば、社長にとって大きな武器となる。
ライブリッツ・アンド・カンパニーの代表の小野は、一つ一つの仕事に対し常に最大限に考えを巡らせて取り組む。そんな小野とは物事の捉え方などベースとなる心の在り方が自分と近しいと感じている一方で、互いに異なるバックグラウンド、強みを持っている。コンサルタントとしてはまだまだ経験不足の私だが、小野と一緒に経験を積み、互いに補完し合うことで、社長にとっての武器をさらに研ぎ澄まし、最上のものを作り上げることができると信じている。
それをもって経営者が抱える問題を解決し、ここで働く人々が心豊かに生活するため、事業の前進と再成長のお手伝いをさせていただけるなら、コンサルタントとしても、私個人としても、こんなに嬉しいことはない。
現在私は中国古典を学んでいる。古典は数百年の歴史を経て今も残っている人間学のエッセンスである。そこから何を受け止めてどう解釈するかは自分次第だが、「500年も前から人は、人間関係や己をどう高めるかについて悩んでいたのだ」と実感すると、社会を構成する一人一人の幸福を追求することがいかに普遍的な課題なのか、意識を新たにすることができる。
コンサルタントの仕事は幅広く、限りが無い。そこで出会える人たちは皆魅力的で、刺激に富んでいる。だからこそ、自分自身を磨くための学びは楽しい。きっとこれからも、その時々に興味をひかれるものは変わっていくであろうが、常に学び続ける人生でありたい。
それと同時に、日常とは異なる世界に身を置く楽しさにももう一度触れたいと思っている。子どもが生まれる前に趣味にしていたスキューバダイビング。海面からの光が柔らかく徐々に薄れていく中、色とりどりの魚や、見たことも無いような生き物と一緒に、自在に空を飛んでいるかのような体験は、代えがたい幸福感を味わわせてくれる。
支援先企業の中で生きる人たちが、海の中で感じられるのと同様の自由でのびのびとした気持ちでそれぞれの力を発揮してもらえるように、全力を注ぎながら奮闘を続けていきたい。