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私は月 1 回、いけばな稽古に通っている。理由は 2 つあって、1 つは気分転換、もう 1 つは親孝行(と勝手に思っている)のためである。
実は私の母が草月流の師範であり、稽古をつけてもらっているのだ。
いけばな=華道は、言わば、枝・葉・花などの調和を意識しながら器に整えながら挿していくことで、その花や花器だけではなく、空間全体を美しく見せる芸術だと思う。
振返ってみると、子供の頃からいつも身近に花があり、そしてそれぞれの花や植物が自然と 調和しつつ成長する様子を眺めながら育ったことは、今の自分を形作る上で少なからず影響 を受けているかもしれない。小学生の頃は好きなスズランの花を持って学校に行くことも あったそうだ。

しかし、現在の私が携わっている仕事は、自然からは程遠い。
立場としては、一コンサルタントとして現場に立つプレイヤーであり、チームをまとめるマネージャーであり、株式会社ライブリッツ・アンド・カンパニーの経営者で もある。弊社の仕事は多岐にわたるが、主たるものは経営において困難な状況に陥ってしまった企業の支援をすることである。
金融機関からの要請を受けて仕事がスタートすることも多い。

経営においてなんらかの壁にぶつかっている企業というのは、必ず社内に問題の原因が潜んでいる。
財務諸表などの数字を見ながら、そして会社の歴史を聞きながら、その組織の変遷を感じつつ問題の原因を見つけていく。
難解な状況の場合には、できるだけそれを小さく分割して考える。
大きな困難を小さい難しさに切り分けて、一つずつ諦めずに、丁寧に紐解いていくことで大きな謎(専門用語では「窮境要因」でしょうか)も必ず解くことができる。
そして、それを経営者にも、金融機関などの関係先にも理解していただけるように説明することが必要である。
弊社で共に働くコンサルタントには「デューデリジェンスは謎解きと証明」と常々語っているが、問題の原因を見つけ、それを第三者に明確に伝えられるようになるこ とが、コンサルタントとしてのこの仕事の最初のステップである。経営の立て直しのためには、これまでの運営において間違っていたところに社長に気づいてもらい、 反省してもらわなければならない。金融機関には今後も協力を継続してもらうための根拠を示すことが必要である。
それができて初めて、経営改善に向けて具体的に歩みを進めていくことができるようになる。

近年、経営をめぐる社会環境はめまぐるしく変化している。
特にコロナ禍に見舞われてから、問題の発覚から経営を立て直すための時間的猶予がどんどん短くなっている。
着実な結果が求められる時代に、弊社はどのようにそれを提示することができるか。
一つの方針として私が打ち出しているのが、チームを組み、支援に臨むことである。
中小企業には家族経営の会社も多い。問題の根が公私入り混じり、複雑に絡み合っていることも多々あるが、そんな折も複数のコンサルタントがいることで、
それぞれがもつユニークな視点から、一つの物事を見ることができる。
そこから浮き上がってくる課題は単なる数字の悪さに留まらず、社会の変容や会社の歴史に起因する、根深くて抗うことが難しく、そして、今に至った現実であることが多い。このようにリアルさを浮かび上がらせることは、第三者に「証明」する際にも強い力を発揮できる。

個の力をうまく組み合わせ、組織の力とすることでその強さを増し、組織自体の価値を高めることは経営者である私に与えられた役割である。
ただそれは容易なことではない。クライアントの根深い問題に対して、それを紐解き、策を与え、実行に移し、再び組織力を強めていく状況を創り出す、という当社のコンサルタントに期待される役割はとてもタフだ。
相性に加えて、アウトプットの質・レベルはもちろんのこと、倫理観や仕事に対する感謝の気持ちなど、私の求める基準を満たす人材はそう多くはない。
当社の経営に参画してもらっている取締役や縁のあるパートナーコンサルタントとは、できるだけ情報を共有し、時には激しいディスカッションも可能な場を作ることを心がけている。少数精鋭の彼らとともに力を高めあい、組織として調和のとれたコンサルティング力を発揮することができれば、
「この案件はライブリッツさんにしか頼めない」と言われるような依頼にもより多く応えられるようになるからだ。

休日になると私は花を挿す。
私たちの仕事は、一歩間違えれば支援先の経営者やその家族、従業員もろとも崖から落ちてしまうような、取り返しのつかない判断を日々迫られる仕事でもある。
次に打つべき一手が本当に正しいか、何度も自分に問いかけながらの判断を求められる。
休日に仕事のプレッシャーから離れ、季節の移り変わりと自然を感じながら、目の前の美しい花に意識を集中させることは気分転換に最適だ。
花がある生活には彩りがあり、暗い時にも華やかな気分になることができる。
ところが実はいけばなでも、花材にはさみを入れる瞬間は大変に緊張するものである。一度切った枝は「あ、しまった」と思ってももう取り返しがつかないからだ。
それぞれの花材の長さを切りそろえる際は、他の花材・花器とのバランス、そして場に置いたときの画をイメージしながら、丁寧にはさみを入れていく。
その過程を経て、それぞれの枝や花が美しく生き、調和し、そして空間全体を美しく見せることができるような、納得のいく作品として仕上げられたときには、大きな喜びを得られる。

仕事で得られる喜びは、もちろんそれよりもさらに大きい。
丁寧に問題を紐解き、経営者や幹部の方々と共に解決策を検討し、共に実行しながら経営を改善させることで、一度は厳しい状況に陥った会社が社会と調和しながら生き生きと再成長していく。それは自分だけの喜びではなく、依頼してくださった会社の経営者、支援する関係機関各所、そしてその会社で働く人たちすべてにとっての喜びにつながるからだ。
苦境に陥った会社を支援する仕事は、「コンサルタント」という言葉からイメージされるような華やかなものではない。
もしかしたら、火中の栗を拾うようなことなのかもしれない。それでも「あなたの言う通りに進めたらうまくいったよ、ありがとう」という言葉をもらえる瞬間をまた味わいたくて、私はこれからも私の信頼する仲間たちと共に、この仕事を続けていく。

株式会社ライブリッツ・アンド・カンパニー
代表取締役社長/中小企業診断士小野 史人

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